MMORPGの「コルムオンライン」の話題を書いているブログの記事「CO++ Blog: CORUMの由来探り」からトラックバックが、うちの記事「Corum用無料シナリオ The Giant's Stairs」に。
「コルムオンライン」の "Corum" の由来を探しているらしいです。(「CORUM研究所:CORUMの由来」が発端だそうです)
残念ながら、うちの記事で言及している "Corum" がMMORPG「コルムオンライン」と関係あるか無いかは知りませんが、最近になって検索で「コルムオンライン」を調べていてうちのサイトが引っかかってしまったらしいアクセスが時々見られるので、一応解説めいたことを書いておきます。
「Corum用無料シナリオ The Giant's Stairs」で書いたのは、イギリスの作家(現在アメリカ在住)マイクル・ムアコック(Michael Moorcock)のヒロイック・ファンタジー小説「紅衣の公子コルム」(Corum)シリーズ、「エルリック・サーガ」(Elric)シリーズを題材にした、非電源系RPGの話です。
綴りは確かに、「コルムオンライン」(Corum Online)の "Corum" と同じですよね。
マイクル・ムアコックのヒロイック・ファンタジー小説のシリーズ、特に1961年に連作短編からスタートした「エルリック・サーガ」シリーズは、一時期、1990年代初めまでは、ヒロイック・ファンタジー小説のスタンダードの一つとして内外問わず非常に有名でした。
「紅衣の公子コルム」シリーズは、第一巻「剣の騎士」(The Knight of the Swords) の原書が1971年に出ています(第一巻の日本語翻訳は1982年に早川書房ハヤカワSF文庫から。現在日本語訳は絶版)。
最初から長編として書かれたため完成度が高いこと(第一巻、第三巻、最終第六巻が英国幻想文学賞(オーガスト・ダーレス賞)を受賞)、一部のエピソードでエルリックのシリーズとクロスオーバーすることなどから、このシリーズも人気がありました。
その後たくさんの作家がヒロイック・ファンタジー小説を書くようになったことと(1940年代からムアコックが登場する1960年代までは、ヒロイック・ファンタジー小説を書く作家は非常に少なかった)、ムアコックの作風がヒロイック・ファンタジーから離れていったことなどから、特に日本では最近の作品がまったく翻訳されず、1990年代半ばから、ムアコックの知名度は急激に下がっていってしまったのですが。
(ムアコックについて扱っている日本のサイトでは Das Wunderreich der Nacht が詳しいです。あと、英語ですが、公式ファンサイト Moorcock's Weekly Miscellany。)
そういう世界的に(特にファンタジーとSFの分野では)知名度の高い作家の作品ですので、「コルムオンライン」の製作者・関係者が「紅衣の公子コルム」シリーズを知っていて、名前だけ拝借したという可能性もあるかもしれません。想像でしかありませんけれど。
(あ、「拝借した」という言い方が誤解を生むとあれなので断っておきますが、想像が当たっていたとして、名前だけですし、こういうのは問題ないと私は思いますよ)