版面権、再び
「「文字・活字文化振興法」は「新聞・出版産業保護法」か。(《陸這記》 crawlin’on the ground)」
および
「万来堂日記: 再び浮上する版面権」
より。
超党派の「活字文化議員連盟」によりまとめられた「文字・活字文化振興法」法案骨子に、マスコミ報道ではまったく触れられていませんが、音楽におけるレコード会社の著作隣接権同様の権利を出版社に与える「版面権」の創設が含まれています。(「国会/活動報告 文字・活字文化振興法の施行に伴う施策の展開 3・31議連総会提出(衆議院議員 ひだ美代子のホームページ)」参照)
万来堂日記と《陸這記》双方で指摘されていますが、この「版面権」(出版における著作隣接権)は、過去に議論され、日本経済団体連合会から一蹴されて、物別れに終わっているものです。
(「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第2回)議事録 [資料1-G](文部科学省)」より)
この件については、「「文字・活字文化振興法」は「新聞・出版産業保護法」か。(《陸這記》 crawlin’on the ground)」の追記部分「そもそも「版面権」という言葉がおかしい(《陸這記》 crawlin’on the ground)」が非常にわかりやすいと思いますので、当サイトをご覧になった方にはぜひ見ていただきたいです。
私が「版面権」創設について心配するのは、「版面権」のない現状でも、金銭面などで優位に立つ出版社が作家・マンガ家・ライターの権利を抑えつける場面が見られるのに、著作者の権利と同等の権利を出版社が持つことによって、どれほど著作者の権利に影響を及ぼすか、ということです。
さくら出版マンガ原稿流出事件の際に、「漫画原稿を守る会」の賛同者に名を連ねていることを理由に仕事の依頼を取り消された事例が、「走る!漫画家 漫画原稿流出事件」(渡辺やよい著) で紹介されていましたが、これなどは出版社が著作者の権利を軽んじていることを示す顕著な例でしょう。
(「漫画原稿流出事件(Copy & Copyright Diary)」より)
現状がこのような有り様であるのに、出版社のための新たな権利を創設することが、今回大仰に掲げられた目的「文化振興」に寄与するとは到底考えられません。